Electric Warrior時代が”マーク・ボラン”の
ブギにのってダンスしはじめた
”グラム・ロック"の爆発宣言!


Electric Warrior (電気の武者) / T.Rex

 ”ビバップの月の下、君と歌いたい、マンボの太陽の下、君と一緒になりたい”と抑え気味なブギで始まるこのアルバムこそグラム・ロックの爆発宣言のようなものだった。1971年9月にリリースされたが、その前年にはシングル「ライド・ア・ホワイト・スワン」が全英2位、続く「ホット・ラヴ」が最初のトップ獲得と、時代が彼のブギに乗ってダンスを踊りだしていることを示したのがこのアルバムなのである。

 マーク・ボランのヴォーカルとギターにミッキー・フィンのパーカッション、そしてスティーブ・カリーのベースにビル・リジェンドのドラムスとグループとしても安定し、サックスなどのホーンに加えバッキング・コーラスに元タートルズでフロ&エディことハワード・ケイランとマーク・ヴォルマンが入り、曲のメランコリックな部分を巧みに出せるようになっていた。

 「ゲット・イット・オン」「ジープスター」という2曲のシングル・ヒット、またエレクトリック・ウォリアというタイトルやヒプノシスが手掛けたジャケット・デザインから、エレクトリック・ブギ時代の代表作とされることが多いが、このアルバムが優れているのは、ティラノザウルス・レックス時代のアプローチとエレクトリック・スタイルが同居した、劇的に変貌するところをリアル・タイムに映し出しているところに有るのではないかと思っている。しかも、自然な様子で。

 「コズミック・ダンサー」や「プラネット・クイーン」にはティラノザウルスの姿がはっきり聴き取れるが、それは以前のスタイルの残滓といったようなものではなく、今まさに彼が”電気武者”の鎧を装着する瞬間を覗き見るような喜びに包まれたものだ。以後、彼が展開して見せるあらゆるパターンも出てきているのだが、そのどれもが、完成物というよりは出てきたのフニャリとした手触りが有ることも忘れられない。

 特に宇宙的なテーマ、それもかってのような飛躍じゃなくて直接的な言葉による接近は、確実に彼が変容していることを示している。カラフルな花と皿にドラッグが盛られた真夜中のパーティー会場全体が、ロケット・エンジンを付けれて飛び脱したような快感と違和感が交錯するのである。

 それにしてもここにある、形容しがたい切なさみたいなものは何だろう?「モノリス」などに聴ける深い絶望と、やけっぱちのような「ジープスター」のけたたましい同居が、そう感じさせるのだろうか。ジョークじゃないんだという彼の振り絞るような叫びを聴くたびに、ティーンネイジ・ドリームをぶちまけたような楽しいヒット・シングルの世界との落差を感じないわけにはいかない。

 グラム・ロックの象徴ともなったボラン・ブギ、それを華やかに彩るトニー・ヴィスコンティによるストリングス、さらにコーラスなど、どれをとっても新しい可能性と喜びに満ちているはずなのに、どこか全体を覆い尽くすような寂寥感に満ちている。それは私がすでに物語の結末を知ってしまっているからなのだろうか?

 ともあれ、このアルバムを最前線のベース・キャンプとして彼の次の旅はスタートしていまっていたわけだし、その輝きは今も薄れることなく大きな光を放っている。


T-Rex Bang A Gong (Get it On)

『Electric Warrior (電気の武者) / T.Rex 』

オリジナル:1971年発売
541007
A&M
UICY6587(電気の武者+8)
ユニバーサル インターナショナル

Staff :
Marc Bolan (Vo. G.)
Bill Legend (D. Per.)
Howard Kaylan (Vo.)
Ian Mcdonald (Sax.)
Mark Volman (Vo.)
Mickey Finn (Per. Vo.)
Steve Currie (B.)

Tony Visconti (P.)
Rick Wakeman (Key.)
Will Legend (D.)
Burt Collins (Hor. Flugelhorn)

1. Mambo Sun
2. Cosmic Dancer
3. Jeepster
4. Monolith
5. Lean Woman Blues
6. Get It On
7. Planet Queen
8. Girl
9. The Motivator
10. Life's A Gas
11. Rip Off

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